物流アウトソーシング会社(3PL企業:サードパーティロジスティクス企業)の選び方とは?5つのポイントを解説

公開日:2022/09/28

物流とは、簡単に言えば商品を生産者から消費者へ引き渡すことを言いますが、自社で物流インフラを立ち上げるのが難しい事業者もあります。特にECサイトなどで物流を自社で構築しにくい場合、物流アウトソーシングを依頼するのが一般的です。今回は、物流アウトソーシングの概要や物流アウトソーシングが選ばれる理由に加え、物流アウトソーシング会社の選び方を5つご紹介します。

物流アウトソーシングとは

物流アウトソーシングとは、物流関連の業務を外部に委託することです。日本語では物流代行とも呼ばれ、物流アウトソーシングを実施している事業者のことを3PL企業と呼ぶこともあります。また、そもそも物流とは「輸送・保管・荷役・包装・流通加工」の「物流5大機能」を軸とした、生産者から消費者へと商品を引き渡す物的な流通のことを指します。

上記のように、物流とは大まかに分けて5つの機能を持っています。実際に、物流アウトソーシングでできることには入荷や入庫、検品、在庫管理、帳票発行、ピッキング・梱包、出荷、返品処理、棚卸などがあります。

  • 入荷や入庫…商品をセンターに納品(入荷)したり、商品や数、置き場を特定し、棚やパレットに格納(入庫)したりする。
  • 検品…在庫の状態が問題ないかどうかチェックする。
  • 在庫管理…在庫表と在庫の現物の数が一致していることを確認する。在庫管理の際は、置き場所を明確に決めること、向きを揃えて保管することが重要。
  • 帳票発行…送り状や納品書、伝票、ピッキングリストなどを発行する。
  • ピッキング・梱包…注文を受けた商品を保管エリアから指定された数量取ってくる(ピッキング)、その上で輸送用に箱や袋を用いて梱包する。
  • 出荷…荷物が出来上がったのち、輸送会社へ引き渡す。
  • 返品処理…商品が受取人の長期不在、受け取り拒否、住所不明による返品などで戻ってきてしまった場合の処理。再入庫や商品を荷主に戻すことも。
  • 棚卸…決算などで棚卸を行う場合、その作業を代行する。入出荷をストップしたり、出荷を行いながら棚卸も行うなど。

ただし、3PL事業者の中には倉庫を持たない「ノンアセット型」もあります。ノンアセット型の3PL事業者の場合、在庫管理を委託することはできないことに注意しましょう。

3PLについては、以下の記事で詳しくご紹介しています。
3PLのメリット・デメリットとは?物流運用の課題を解決できる?

なぜアウトソーシングが良い?

物流アウトソーシングを利用することで、上記の業務を委託することができます。例えば、アセット型の物流アウトソーシングを利用すれば、在庫保管を行う倉庫を確保しなくてよくなるため、コスト削減にもリソース削減にもなるでしょう。物流業務を自社で構築するよりも、商品開発などのコア業務に集中できます

特にECサイトなどでは、自社で物流インフラを構築することが難しい場合も少なくありません。そこで、物流業務をすべてアウトソーシングすることで、ECサイトの運営や商品の開発、仕入れなどに注力することができるでしょう。

物流アウトソーシング会社の選び方

物流アウトソーシング会社を選ぶ場合は、どんなことに注意すれば良いのでしょうか。ここでは、5つのポイントをご紹介します。

フォロー体制、スタッフの質

トラブルやイレギュラーが起こったときのフォロー、日々の業務を行うためのサポート体制などが整っているかどうかは重要なポイントです。専門知識を持つスタッフがいるか、過去の対応実績などを見ると良いでしょう。どこまで対応してもらえるのか、事前に確認できることはしっかり確認しましょう。アウトソーシングを検討している商品や数量と同様の案件を引き受けた実績などがあれば、ノウハウが既に蓄積されているためより良いです。

また、営業担当者との意思疎通がしっかりでき、委託する側の希望を正しく汲み取ってくれ、最適な提案をしてくれるかどうかも重要です。さらに、ただ言われたことをするだけでなく、コスト削減や業務効率化に向けた提案ができると理想的でしょう。

費用が適切かどうか

物流だけでなく、アウトソーシングを頼む上で費用が適切かどうかは重要なポイントです。物流アウトソーシングの費用は、主に以下の5つから成り立っています。

  • 基本費用…物流管理システムの使用料金、作業共有スペースの利用料金など。
  • 保管費用…商品を保管するための地代家賃に相当する。スペースの広さ、棚貸しやパレット貸しの単位で変わる。光熱費が含まれる場合もある。
  • 入庫費用…商品を入庫したときにかかる費用。どのような入庫方法で何回入庫されるかでコストが変わる。
  • 梱包費用…ピッキングから梱包、輸送業者に引き渡すまでの費用がかかるのが一般的。別料金でギフトラッピングなどを請け負ってもらえることも。
  • 配送費用…物流代行会社から輸送業者に支払う費用。まとめて輸送業者に引き渡すことで、荷主が個別に輸送業者に委託するよりも費用を抑えやすい。

倉庫の場所や立地

コストが安すぎるとあまりにも不便な場所にある場合があります。余分な人件費によってかえって費用が高くならないよう、高速道路や空港、港など交通の便が良い場所の立地が良いでしょう。働き手が少ない過疎な地域にある会社も、繁忙期に人手が足りなくなる可能性があるため注意が必要です。

イレギュラーやトラブルが起こった際にもすぐ代替品を発送する対応ができるよう、立地は重要です。スタッフを集めやすい場所に倉庫があれば、イレギュラーな出荷作業にもスムーズに対応してもらいやすいでしょう。コストは重要ですが、コストにこだわりすぎて立地を度外視しないように気をつけましょう。

品物の保管方法や設備

倉庫内でどのように品物を保管しているか、どんな設備があるかをチェックしておくことも重要です。特に、夏場や冬場など極端な温度変化が予想される場合にきちんと対策しているかなどをチェックしましょう。温度管理が適切でないと、商品の状態が悪くなってしまう可能性もあります。そのまま出荷するとクレームや返品対応が必要になるほか、消費者からの信頼を失ってしまうため注意が必要です。

在庫管理の方法についても、在庫を抱えすぎず少なくなりすぎないよう、適切な在庫管理が行えているかどうか、信頼できるシステムを導入している会社が良いでしょう。リアルタイムで把握できるシステムも普及しているため、そうしたシステムで自社でも確認できるようにしておくとより良いです。

自社に合ったサービス内容かどうか

自社の物流に関する現状を把握し、必要なサービス内容をはっきりさせてから物流アウトソーシング会社を探すと良いでしょう。通常期や繁忙期、閑散期に合わせて必要な件数、必要なスペース、商品保管の温度などを確認します。特にECサイトなどの場合は、小規模でも対応可能かどうか確認すると良いでしょう。

重量物を取り扱う事業者の場合は、どこまで対応しているかチェックする必要があります。重量物について詳しくは、ぜひ以下の記事でご確認ください。
重量物の定義とは?法令ではどのように定められている?

まとめ

物流アウトソーシングとは、「輸送・保管・荷役・包装・流通加工」の「物流5大機能」を中心に物流インフラを請け負ってくれる事業者のことです。物流アウトソーシングを利用することで、事業者はコア業務に集中でき、コストやリソースの削減につながります。物流アウトソーシング会社を選ぶ際は、フォロー体制や費用、立地、品物の保管方法や自社に合ったサービス内容かなどを基準にすると良いでしょう。

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