物流アウトソーシングのメリット・デメリットとは?

公開日:2022/10/25

ECサイトなどの小規模な事業者を中心に、「物流アウトソーシング」という形態が注目を集めています。物流アウトソーシングとは、文字通り物流業務を外部に委託することで、事業者にとってメリットもデメリットも存在します。そこで、本記事では物流アウトソーシングのメリット・デメリットを詳しくご紹介します。物流アウトソーシングを検討中の事業者さまは、ぜひご一読ください。

物流アウトソーシングとは

物流アウトソーシングとは、通常、自社内で行う物流業務を外部の事業者に委託することを指します。物流業務には入出庫や在庫管理、ピッキング・梱包、出荷といった基本的な業務から、検品やセット組み、返品や棚卸しなど付帯業務まであり、どこまで委託できるかは事業者によります。

また、物流アウトソーシングの中には「3PL(サード・パーティー・ロジスティクス)」と呼ばれる形態があり、さらに倉庫やトラックなど輸送手段を持つ「アセット型」と、倉庫や輸送のリソースを持たない「ノンアセット型」に分けられます。

物流アウトソーシングのメリット

物流アウトソーシングのメリットには、業務効率化・コスト削減・品質向上の3つが考えられます。それぞれのメリットについて詳しく見ていきましょう。

業務効率化

物流アウトソーシングを利用することで、それまで物流業務にかけていた時間をコア業務に集中できます。新商品開発、マーケティング、ブランディング、コンテンツ制作などに注力することで、売上アップにつなげられるでしょう。特に近年競争が激化しているECサイトなどでは、よりコア業務の重要性が増してきています

しかしどれだけ売上が伸びたとしても、EC事業者が自社で物流業務を賄おうとすると、商品を実際に出荷する労力を突然増やすことができません。物流アウトソーシングを使えば、急激に出荷数が伸びた際にも対応してもらえるため、物流業務が売上アップのボトルネックにならずに済むでしょう。

実際に、物流アウトソーシングを検討する第一段階として、出荷数の伸びが挙げられます。出荷数が増えてきたことにより、物流業務に割くリソースが増え、コア業務を圧迫してしまい、物流アウトソーシングを検討するという流れです。自社で物流業務を取り仕切っているままだと、伸びた売上に対して出荷が追いつかなくなるだけでなく、コア業務に割けるリソースが減り、せっかく伸びた売上が元に戻ってしまうことも考えられます。

すなわち、物流アウトソーシングによって業務効率化をはかることは、リソース確保のためにも売上維持のためにも非常に重要な経営判断となります。

コスト削減

物流アウトソーシングの利用は、コスト削減にもつながります。特に中長期的なコスト削減が可能になるでしょう。自社で物流体制を構築する場合、専任のスタッフや設備を整えることで業務効率化は不可能ではありませんが、莫大なコストがかかってしまいます。その上、EC事業者などの場合は突然の売上増に対応できなくなったり、閑散期にリソースが余ったりしてしまうこともあるでしょう。

そこで、物流アウトソーシングを利用して出荷数に応じた対応をしてもらえば、費用も繁忙期にはかかるものの、閑散期にはかからずに済みます。また、アウトソーシング先が配送会社とまとめて交渉することで、個別に事業者が対応するよりもスケールメリットを生かして配送料金が安く済むケースもあります。

また、アセット型の3PLを使えば、倉庫保管も自社で行う必要がなく、倉庫の固定費や管理費などを削減しやすいです。これも量に応じて料金が変わるため、事業者は必要な在庫の分だけを確保しておけばよいことになります。前述の人件費同様、必要な分だけ支払うことで、中長期的なコスト削減につながるでしょう。

品質向上

物流アウトソーシングを行うことで、物流業務の品質アップにもつながります。アウトソーシング先の事業者は、物流業務のノウハウや実績はもちろん、そのために特化した設備やスタッフなどのリソースを持っているプロです。プロに任せることで、自社で一から構築するのと比べて物流業務のミスが少なくなり、品質が安定したり、出荷スピードを向上したりできるでしょう

物流の品質は顧客満足度に直結するところで、自社構築では安定した品質を保つために体制づくりや教育の時間とコストを割かなくてはなりません。しかもそうして高い品質を実現したとしても、取扱商品の種類や数が増えていけば、対応の遅れや出荷ミスなども生まれやすくなります。

そこで、アウトソーシングを利用すれば、スピーディで丁寧な配送、適切な在庫保管などを実現しながらコストを抑えることができます。しかも、出荷数が増えても利用料を増やすだけで安定した品質を保ちやすいです。閑散期だけでなく繁忙期にも安定した品質を保てることで、顧客満足度アップにつながりひいては売り上げアップにもなるでしょう。

物流アウトソーシングのデメリット

一方、物流アウトソーシングにはいくつかデメリットも考えられます。こちらも詳しく見ていきましょう。

イレギュラー対応が難しい

物流アウトソーシングでは、出荷量の急な変化などには対応できても、注文変更や追加注文、出荷保留、急ぎの出荷などといった個別対応、イレギュラー対応が難しいという問題があります。あらかじめ事業者とアウトソーシング先で定めた規定に則って業務が進むことから、そこから外れる業務には対応しにくいのです。

例えば、細やかな商品の知識が求められる検品業務、他社との差別化のために個別の手書きメッセージカードを添える、高度なラッピングや梱包形態をとる、などは対応しにくいです。細かなマニュアルを作ることで対応してもらえるケースもありますが、その場合はどうしてもコストがかかってしまいます

物流アウトソーシングでは、最も重要な「適切な在庫管理」「正しい商品をスピーディに間違いなく顧客へ届ける」という部分を重視します。そのため、確実に商品をピックアップし、配送会社の集荷に間に合わせることが第一です。そのために個別対応などはどうしても切り捨てざるを得ないこともあるでしょう。

自社にノウハウを蓄積できない

物流アウトソーシングを利用すると、どうしても物流に関するノウハウが自社内に蓄積されないことは注意しておくべきです。将来的に自社物流を構築することも検討しているなら、ノウハウを共有できるよう積極的に現場を見に行くなど対策を採らなくてはなりません。

委託できる範囲は事業者による

一口に物流アウトソーシングと言っても、委託できる範囲は事業者によるため、自社に合った物流アウトソーシング事業者を探すのが大変です。また、上記のように細かいイレギュラー対応を行える事業者は多くないため、どうしても自社で対応しなくてはならなくなるケースも考えられます。

また、受注後の入金確認や送り状の印刷などは自社内で対応しなくてはならないことも多く、物流業務のすべてを委託できるとは限りません。どこまでを自社で対応し、どこまでを委託するのかきちんと把握して最適な事業者を見つけましょう。

まとめ

物流アウトソーシングを利用することで、業務効率化してコア業務に集中できる、中長期的なコスト削減につながる、品質維持になるといったメリットが考えられます。一方、イレギュラーへの対応が難しい、自社にノウハウを蓄積できない、委託できる範囲は事業者によるといったデメリットも存在します。物流アウトソーシングを検討する場合は、これらのメリット・デメリットを慎重に検討しましょう。

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