3PLのメリット・デメリットとは?物流運用の課題を解決できる?

公開日:2022/06/28

近年、物流業界で3PLという言葉がよく聞かれます。企業の物流(ロジスティクス)に関するさまざまな課題を解決できる方法として、導入する企業も増えてきていますが、3PLにはどのようなメリット・デメリットがあるのでしょうか。本記事では、そもそも3PLとは何かについて、3PLのメリット・デメリットについてご紹介します。

3PLとは?

3PLとは「Third Party Logistics(サードパーティ・ロジスティクス)」のことで、物流に関する業務を第三者企業に委託する形態のことです。ファーストパーティである各メーカー、セカンドパーティである小売業・卸売業以外の第三者(サードパーティー)に物流(ロジスティクス)を委託することから、このように呼ばれています。

3PL事業者が請け負う範囲は輸送や保管といった基本的な物流機能以外にも、流通加工、情報管理、受発注の代行、返品処理などのほか、在庫拠点の立地、物流拠点や範囲の組み立て、お客様センターの代行など、事業者によってさまざまです。また、3PLにはアセット型とノンアセット型があり、次で詳しく説明します。

アセット型

アセット型とは、倉庫や輸配送の手配、物流センターなどを自社で持っている事業者のことを指します。アセット(asset)とは英語で「資産」「財産」などの意味があり、自社の所有するドライバー、トラック、管理システムなどの経営資源を利用して物流サービスを行うため、こう呼ばれています。輸配送車両や物流センターなどすべてを自社管理していることから、包括的に物流管理が可能です。

例えば、ドライバーの安全教育や物流拠点の業務改善、輸配送ルートの最適化なども自社で直接行えるため、直接サービスの向上をはかることができます。ノンアセット型と比べて荷主企業との意思疎通がスムーズであり、信用や評価につながりやすいことも強みと言えます。

ノンアセット型

ノンアセット型とは、アセット型とは逆に自社でドライバーやトラック、物流拠点などを所有しない形態の事業者のことを指します。輸送業者や倉庫作業者と提携し、マネジメント業務を行う形態です。輸配送の手段や物流センターなどを自社で持っていないため、輸送の量が極端に増減しても柔軟に対応しやすいほか、サービスが全て外注であることから、「輸送はA社に委託し、倉庫はB 社に提供してもらう」など、荷主企業のニーズに応じてフレキシブルなサービスの提供ができます。

3PLのメリット

3PLのメリットについて、5つのポイントをご紹介します。

1.物流コストを抑えられる

自社で物流を運用する場合、人件費や運送費、倉庫費などの固定費が毎月かかってしまいます。しかし、3PLを導入すればこれらの固定費を削減でき、荷量が少なければ3PL事業者に支払うコストも少なくなる、というようにコスト削減に役立つでしょう。

一方、自社で物流を運用する場合は、一度採用した従業員に対し、繁忙期だから人員を増やす、閑散期だから人員を減らす、などと簡単に増減することはできません。そうなれば、閑散期に繁忙期並の人手や倉庫規模を確保しておくことはコストの無駄とも言えるでしょう。

3PLであれば、使った分だけ料金を払う形態が一般的なため、閑散期はコストを抑え、繁忙期は必要な分だけリソースを確保できます。委託した先の事業者が必要に応じて最適なリソースを確保してくれるため、コストの無駄がありません。

2.生産性アップ

3PLを利用することでコストが自社で物流運用をした場合と同じであったとしても、委託によって専門の物流業者が業務効率をアップすれば、より多くの商品を配送でき、売上アップにつながります。逆に、売上アップにつながらずとも、物流コストを下げることで企業全体の利益をアップすることにつながるケースもあります。

さらに、3PLを利用することで物流コストが抑えられ、業務効率アップによって売上も上がるという理想的な状態に持っていければ、大幅に生産性アップが期待できるでしょう。

3.輸配送の品質向上

物流専門のプロに任せることで、プロのノウハウによるスムーズな納品で輸配送の時間を短縮したり、ミスを減らして確実な輸配送を行えたりします。

単に輸配送だけでなく在庫管理を行ってくれる業者もあり、例えば、これまでよくあったメーカーが小売店や営業からの緊急発注に備えて余剰在庫を抱えたり、工場が追加発注に備えて半製品や原材料を余分に抱えてしまったり、などの事態も防げるでしょう。

在庫管理を自社で適正に行うのは非常に難しいことで、専門業者に任せることで不良在庫の発生も防ぎやすくなります。物流品質を高い状態で維持することが、売り手や顧客の満足度向上につながっていくことでしょう。

4.リソースの有効活用につながる

自社で物流を運用していた場合、ヒト・モノ・カネなどのリソースをそこへ割くことになります。これまで物流に割いていた経営資源を自社のコアビジネスに投入できれば、物流業務のために専属の人材を雇用・育成する必要がなくなります。その分、業務範囲を縮小・集中することができ、マネジメントの負担を減らしたり、業務効率化したりすることにもつながるでしょう。

5.物流関連の取引の効率化

物流に関する発注・連絡・管理などのタスクを3PL事業者に任せられるため、物流関連の取引先が一つにまとめられ、取引に関わる業務を一気に効率化できます。連絡や交渉、契約、支払いなどを数社に渡って行っていたものが一社にまとまれば、その分のリソースやコストを削減できるでしょう。

3PLのデメリット

さまざまなメリットがある3PLですが、一方で以下のようなデメリットもあります。

自社に物流ノウハウが蓄積できない

一時的に3PLを利用し、いずれは自社による物流運用に戻そうと思っている場合、3PLに委託することで物流ノウハウが蓄積されにくくなることがデメリットにもなりえます。さらに、自社内で部署管理するわけではなく、物流関連のほとんどが他社管理となるため、セキュリティ面や意思疎通がはかりにくい、などもデメリットとして考えられるでしょう。

現場の状況がわかりにくい

物流を一手に委託すると、現場の実態や運用の様子を確認しづらくなってしまいます。そうなると、物流に関して何か問題が発生しても、何が問題なのか、改善するポイントはどんなことなのかが不明瞭となってしまうでしょう。

現場の状況を把握するためには、3PL事業者に報告書の提出や説明などを求めることになり、かえって手間になることも考えられます。報告書提出などの手間を省くためには、定期的に現場に行き、物流の様子を確認できるような契約にすると良いでしょう。

緊急時の迅速な対応が難しい

物流を委託していると、輸送中に何かの事故やトラブルがあったり、顧客からのクレームが発生したりした場合、緊急に代品を手配して出荷するなどのイレギュラー対応ができないことがあります

連絡がスムーズにいかない、緊急対応ができない、業務委託契約にないなど理由はさまざまですが、こうしたイレギュラー対応にどう対応するか、あるいは委託先にやってもらえるのか、契約前にしっかり検討しておくことが重要です。

まとめ

3PLとはサードパーティ・ロジスティクスのことで、物流関連の業務を専門の事業者に委託する形態のことです。3PLにはアセット型とノンアセット型があり、それぞれにメリットとデメリットがあるため、自社に合ったサービスを選びましょう。3PLには物流コストを抑えたり、生産性や品質の向上につながったりするメリットがありますが、反面、現場の状況がわかりにくい、イレギュラーに対応しにくいなどのデメリットもあります。よく検討して選びましょう。

ウチダフレイトは、3PLのメリット・デメリットをお客様にご理解いただいた上、「課題解決」、「生産性向上」、「コスト削減」という視点で物流の改善を図り、物流センターの見える化によりデメリットを感じさせないサービスの提供を日頃より努めております。物流サービスに関するご相談は、お気軽にお問い合わせください。

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